久しぶりに美術館とかギャラリーとか回った。

今日見た中の一つ。表参道のEYE OF GYLEでアニッシュ・カプーアの展示。52分のドキュメンタリー映像も流れていて、勉強になりました。カプーアは金沢21世紀美術館の「世界の起源」の作家として有名。
今回展示されてる作品と金沢の作品とは、見た目は全然違うけど根底には同じものが流れてるなと感じました。

今回の展覧会のチラシに、アドルノ『啓蒙の弁証法』とドゥルーズ『感覚の論理』が参考文献として引かれて(ドゥルーズの方は引用文なし)、カプーアのアートは現代社会における「文明」と「野蛮」の対立からの止揚を示すものであるようなことが書かれていて、なるほどなと。
カプーアの作品は「子宮」を象徴していて、それは、人間の自然性・動物性と精神性との境界線でもある。人は人として存在する以前に動物の一種でもあり、その両義性が、現代社会のへそとして残っているのだろう。
ただ、せっかくドゥルーズも参照されてるので、カプーアのアートは弁証法というよりも「器官なき身体」の表象だと言ってしまう方が個人的には好き。(「器官なき身体」に関しては、『感覚の論理』よりも『千のプラトー』第6章がいい。翻訳の文庫版だと上巻に入っている。)シカゴのクラウドゲートも、ドキュメンタリーの中ではそういう役割を与えられていたし。
そう言ってしまえば、なぜカプーアが金沢でクールベの「世界の起源」をオマージュしたかがわかるんじゃないかと思う。し、それをいろんな仕方で形にしてるカプーアの面白さがわかる。

というわけで、金沢21世紀美術館見に行ったときのクールベ→カプーアのラインがさらにカプーア→カプーアとつながって深化したので、とてもよかったです。26日(日)までやってるぽいです。今回の作品単体でも美しいですが、金沢行ったことある人は特に楽しめると思います。

他には、六本木のギャラリーペロタン「パオラ・ピヴィ」展とかYKGgalleryの「Nerhol」展とか面白かったですが、この二つは今日で終わりだったみたいです。

https://www.fashionsnap.com/n…/2017-09-27/gyre-anish-kapoor/